『最後の晩餐』で一人だけ“ぼっち席”なのはなぜ?【美術鑑賞のツボ/前編】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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『最後の晩餐』で一人だけ“ぼっち席”なのはなぜ?【美術鑑賞のツボ/前編】

美術館賞を楽しむための5つのツボ①

「たまには教養のために美術館へ」と常設展に出向いたはいいが、いざ鑑賞となるとどうも名画の良さがわからない。そんな美術鑑賞ビギナーのために、専門家がカンタンで楽しい鑑賞術を伝授する(前編)。

◆「なぜこうなっている?」を能動的に探してみる

「まずは能動的にツッコミを入れつつ見ることです」と話すのは、絵画をわかりやすく紹介する書籍を執筆する佐藤晃子さん。
「名画だからすごい絵なのだろうなと最初から思うのではなく、まずは第一印象で気になる箇所を探してみてください」。
 例えば有名な『最後の晩餐』は何人もの画家が描いている。この絵画のツッコミどころはイエスを裏切ったユダの位置や表情だ。15世紀のイタリアの画家、カスターニョが描いたものとレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた有名な絵ではまったく違う表現がされている。
「ユダだけを孤立して座らせるのが定番の描き方ですが、レオナルドはそれをやめ、『裏切り者がいる』というイエスの言葉に動揺する弟子たちの心理を身振りで表現しようとしています」。

写真を拡大 『最後の晩餐』 アンドレア・デル・カスターニョ 1447年頃/フレスコ・壁画/サンタポローニア修道院蔵

写真を拡大 『グランド・オダリスク』ドミニク・アングル 1814年/油彩・カンヴァス/ルーヴル美術館蔵

 またドミニク・アングルの名画『グランド・オダリスク』も「なぜこんなに胴が長いのか? がツッコミどころ」と佐藤さん。
「アングルはあえて女性の美しいラインを際立たせるために描いているのです」。
 まずはツッコミポイントを見つけてから絵の解説を読む。さらに歴史的な背景や聖書を紐解いていけば、作者の意図がよくわかる。

 
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佐藤 晃子

愛知県出身。明治学院大学文学部芸術学科卒業、学習院大学大学院人文科学研究科博士課程前期課程修了。西洋や日本の美術をわかりやすく紹介する著書の執筆を手がけるライターとして活躍。美術に関する講演も多数。


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